100年メダカ 第四章 〜めだかの館のブログ〜

元祖 改良メダカ専門店 めだかの館のブログです!100年続くメダカ文化を目指して、日々の日記(メダカに関することから関係ないことまで色々)を更新します!メダカ好きな方必見です!

品種分類案0-6 ~品種の適切な分類方法は?~

前回の内容は


形質は、
目視で判別可能であり,子孫に遺伝する改良メダカの特徴
である。


形質を定義することで
・愛好家同士のコミュニケーションが容易になる
・飼育技術向上(選別基準の明確化)
・新形質と既存形質の差がはっきりわかる → 新品種作出の基準が明確になる
・品種名から、個体の特徴を読み取れるようになる(審査の手助けになる)


ということでした。



今回は、品種は形質で分類するのが適当なのか?ということについて解説します。



まずは、品種の定義について確認します。
大辞林 第三版では以下のように記載してあります。

生物分類上の一段階。種より下の階級の一つで,基本的には同一種であるが,一,二の形質に異なる点のあるものを品種として区別する。


また、wikipediaでは、以下のように記載してあります。

種の中で,他の個体と区別できる,人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており,それにより他と区別できる,もしくは産業上区別する意味の認められる個体群。

品種 - Wikipedia


どちらも
種の中で形質が異なるもの
という点で一致しています。


改良メダカは、基本的にはニホンメダカ(Oryzias latipes)同士の交配により生まれるメダカを指します(ニホンメダカは、キタノメダカ(Oryzias sakaizumii)とミナミメダカ(Oryzias latipes)に分類されますが、ここでは割愛してニホンメダカとします)


したがって、
ニホンメダカ(Oryzias latipes)という種の中で
形質が異なる個体群
を品種と定義するのが自然かと思います。



※めだかの館では、海外品種等との交配を認めていません。これは、種が異なるものを掛け合わせた場合に、改良メダカを「純粋なニホンメダカのみを交配して作出したメダカ」ということができなくなるからです。




しかし、実際に観賞魚の世界で、品種はどのように扱われているでしょうか?


中国金魚、グッピーの世界では、品種名は形質の組み合わせによって命名されています。


一方で、錦鯉、日本金魚の世界では、乱暴に言うと、改良メダカの世界で言うニックネーム(形質の組み合わせではない品種名)を品種名としています。


一つの品種の中に、様々な形質があり、
「和金なら素赤と更紗」というように
この品種はこの色や柄というスタンダード、というものがあるそうです
(当店は金魚を飼育したことが無いため、あくまで本などを参考にした意見です)。



この違いは、国における価値観の違いであると考えられています。


金魚の発祥である中国では,変化に富んだ今までにないもの(新しい形質)を求め追及するという趣向があります。一方日本では,生まれ出た多くの中でこれはという変異の個体に着目し,その変異個体の特徴が際立ち,かつ,調和のとれたものに作り上げ,安定させることに決心を注ぐスタンスで金魚文化は発展してきました。つまり個々ではなく,一つの独立した品種を作り上げるという姿勢です。


参考資料
「金魚飼育全書」吉田信之著,東院日書出版,2014年刊
「ときめく金魚図鑑」尾園暁著,山と渓谷社出版,2017年刊



改良メダカは、
命名法中国金魚に極めて近く
形質の名称グッピーの影響が強く(ヒレ変化のスワローなど)
ニックネームの名付け方日本金魚に近いものがあるという


それぞれの観賞魚の文化の良いとこ取りをしたような状況に感じられます



改良メダカの品種分類案を作成するにあたり、
学者や他観賞魚業界の方など様々な方から意見を伺いました。



その中で、改良メダカの品種命名法は、
「日本金魚や錦鯉同様、ニックネーム性のある情緒的なものが好ましい」
という意見も多数上がりました。


一方で、
「形質の定義もあいまいな状態では、混乱が続く一方であるため、
まずは形質の定義をはっきりとさせ、それを浸透させることが先決だ」
という意見もありました。


確かに、金魚にしても錦鯉にしても、形質の定義ははっきりとしており
その用語にて自然に会話ができる状態です。



議論の結果、
将来的には情緒的な命名を品種名とする可能性もありますが、
改良メダカの進化を鑑み、形質の定義や用語の普及が先決と考え、
改良メダカの品種分類は形質によって分類する、
ということにしました。



まとめますと、
改良メダカの品種分類は
形質や用語の普及を図るため
まずは形質による分類とする
こととしました。



文章ばかりで面白みのない内容となってしまいました・・・



次回は、研究者の観点からの改良メダカの品種分類について解説します。







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