品種分類案3-2 オーロラと非透明鱗
オーロラについて
前回と重複しますが,オーロラを例にとり,系統と形質の違いを説明します。
オーロラという言葉には
系統としての意味合いと
形質としての意味合いを 含んでいます。
ここでは便宜上前者を「オーロラ系統」,後者を「オーロラ形質」とします。
オーロラ系統とは,初代オーロラメダカから産まれたすべての個体群を指し,
いわゆる
「オーロラの遺伝子が入っている」
「オーロラの特徴が現れる可能性がある」
などの情報で売買されているメダカです。
これらには,オーロラとしての特徴(=オーロラ形質)があったりなかったりします。
系統の意味から,たとえオーロラとしての特徴が無くても,オーロラを祖先に持つメダカ群はすべてオーロラ系統と呼ぶことができます。
オーロラ形質とは,おおよそ大多数の人がオーロラっぽさを感じるオーロラメダカの特徴を指します。
具体的には,
「メダカの頭部付近がぼうっと透けて
頬のあたりが何となく透けて薄紫のようになっている」
という特徴です。
この特徴がみられるのは当然オーロラ系統のメダカです。
今回の品種分類案ではオーロラ形質を「半透明鱗」と命名し分類しました。
したがって,
「オーロラ形質=半透明鱗」でありますが
「オーロラ系統=半透明鱗」とは限りません。
その理由は、以下の二つです。
① 系統(オーロラ系統)と形質(半透明鱗)は座標軸が異なるため比較することができないため
②オーロラ系統の中には,オーロラ形質を持たない個体がいるから(これらの個体は「半透明鱗」と呼ばない)。
「オーロラ」と一口に言っても,
そこには系統と形質の二つの意味があることを理解すれば,
愛好家同士の会話などがスムーズに行われるかと思います。
非透明鱗について
オーロラ同様,非透明鱗も
系統としての意味合いと
形質としての意味合いがあり
前者を「非透明鱗系統」,後者を「非透明鱗形質」とします。
非透明鱗系統は以下の二つの特徴があります。
・幹之を祖先に持つ
・三色メダカのうち,透明鱗形質のメダカを祖先に持たない
特に,透明鱗形質のメダカを祖先に持たないことが
非透明鱗系統の定義として良く挙げられます。
その理由は,三色メダカには作出経緯の異なる2種類の三色メダカが存在するからです。
初代三色メダカは琥珀透明鱗斑を起点とした透明鱗の形質を持つメダカ群でした。
その後,透明鱗の形質を持たない三色メダカが作出され,
初代三色メダカと区別するために「非透明鱗」と名付けられました。
透明鱗を共通祖先に持たない,
という否定的な意味合いがやや理解しにくいと指摘される所以かと思います。
非透明鱗形質についてですが,これは明確な定義がされていません。
「透明鱗三色と比べて白地や黒斑が鮮やか」
「黄や朱赤が飛び飛びに出現する」
などの特徴は挙げられますが,
形質としての特徴を目視で判別できないため,
今回の品種分類案では形質に分類しませんでした。
もっとも,非透明鱗三色と透明鱗三色の区別についてですが,
品種分類案による品種名では
非透明鱗系統:「白朱赤斑」
透明鱗系統 :「白朱赤透明鱗斑」
と区別することができます。
※非透明鱗という言葉は,透明鱗(ホホ無し)を指すことがありますが,これは上記の非透明鱗とは全く異なる意味合いですので注意が必要です。
「改良メダカ品種分類案」はこちら↓↓↓
http://jma-medaka.jp/pdf/1saishinhinnsyubunnrui.pdf
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※本ブログは、改良メダカ品種分類案の普及を目的として、日本メダカ協会の許可を得て写真や文章を掲載しています。
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