100年メダカ 第四章 〜めだかの館のブログ〜

元祖 改良メダカ専門店 めだかの館のブログです!100年続くメダカ文化を目指して、日々の日記(メダカに関することから関係ないことまで色々)を更新します!メダカ好きな方必見です!

メダカの名前を分かりやすく

【メダカの名前をわかりやすく】
改良メダカを始めた人が必ず思う事
「メダカの名前って、たくさんあってややこしくない?」


この声に応えるため、Youtubeにてメダカの見分け方シリーズを配信しました。
https://www.youtube.com/watch?v=DKwEYdM_Zaw
たくさんの「わかりやすい」というお声をいただき、ありがとうございます。


実はこの解説の作成のために、3年近くに渡るメダカの品種分類のための活動を実施してきました。その話を少しだけ紹介します。




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長文ですのでご注意下さい。
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当店が改良メダカを始めたのは20年前の事です。その頃のメダカの名前は「白メダカ」「黄金メダカ」など実にシンプルでした。


では、メダカの名前が複雑になったのはいつごろからか?


2014年頃から台頭してきた「オーロラ系」や「黄幹之(灯など)」と呼ばれる系統や品種によって、新しいメダカの特徴が次々生まれた一方で、メダカの特徴が一気に複雑化し、シンプルな分類が困難となりました。


また、メダカに新しい名前を付ける際のルールが変化したことも、名前の複雑化に関係しています。従来の慣習では、新しい名前を付けることができるのは
①新しい特徴を持ったメダカが産まれた
②従来にない特徴の組み合わせのメダカが産まれた
の2点のみでした。しかし、近年になるに従いこの慣習以外の場合でも新しい名前をつける風潮へと変化しました。現在において、新しい名前を付ける際の一般的なルールというのは、プロの我々でもわからない状態です。


まとめると、
メダカの特徴の複雑化
名前の付け方のルールがない
という二つの要因で、現在の「メダカの名前って、たくさんあってややこしくない?」となっているのです。



さて、このような事態になるまで当店は指をくわえてみていたのか?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。当店の理念は、「100年先も続くメダカ文化をつくること」であり、メダカの名前がわかりにくくなることは本意ではありません。このような事態は、メダカ文化をつくることの阻害になると考えます。
 そこで、本腰を入れて「メダカの品種というものをきちんと定義し、特徴や名前に関するルールをつくろう」と活動を開始したのが2017年の冬頃です。


さて、そうはいってもこれは簡単な作業ではありません。
なにせ、業界のルールをつくるという一大事業なのですから。
それも、皆さんが納得できるものをつくらないといけない・・・


まずは、書籍などを読み漁り、そもそも品種の定義や、メダカ以外の動植物における品種分類方法、類似する錦鯉、金魚に関する情報を収集しました。
また、メダカを取り扱う学会への参加や、大学訪問を実施し、作成しようとしているルールの方向性や妥当性について、専門家の意見を伺いながら、作成物のイメージを描きました。


いよいよルールづくりを始めようにも、さて、どのようなメンバーで作成するのか、という問題が立ちはだかります。
当店単独で作成するのが最も容易ですが、これはただの一プロが発信する情報にすぎず、業界共通ルールとしてはふさわしくありません。


メダカの未来を一番考えているのはプロであると考え、様々な方に相談やアドバイスをいただきながら話を進めました。もちろん、多くのアマチュアの方や業界外の方にも相談しました。


結果として、プロアマ問わず、全国規模のメダカ愛好家団体である「日本メダカ協会(以下、協会)」が「マニュアル」という形で世に出すことが最も望ましいという結論に至りました。


当店は、日本メダカ協会の一会員に過ぎない為、まずは協会に対して趣旨の説明をして、マニュアルをつくる部会を創設することを提案しました。これが「日本メダカ協会品種分類部会(以下、部会)」です。協会から許可が下りたので、改良メダカに10年以上携わっているベテランメンバーを招集し、部会を立ち上げました。2018年7月の事です。


ところが、いざメンバーが集まって話をすると、1つの特徴に対して様々な呼び方があり、メンバー間で会話が成り立たないことがあることが判明しました。部会メンバー間であれば会話が成り立つ、と考えていたため、この作業の困難さを改めて感じた瞬間でした。
 年間の長い議論(内容は割愛します)の末、改良メダカの特徴を7グループ35種類に分類しました。また、これらの特徴の組み合わせを品種名とする、というルールを制定しました。


この辺の流れはこちら(ブログ 品種分類案0シリーズ)
→https://medakanoyakata.muragon.com/entry/260.html


これらの情報は「改良メダカ品種分類案」としてA4用紙72ページの大ボリュームで無料公開しました。2019年4月の事です。



さて、協会内で決めたルールだけでなく、広く愛好家の意見を収集し、マニュアルをブラッシュアップするため、1年間の試運用期間を設けました。実施したことは2点です。


 ・プロ、メダカ団体、出版社に対してマニュアルに関する意見徴収を実施
 ・品評会や販売店にて実活用し、問題点を抽出


多くの方にこの案を見ていただく中で、なんと海外からも多くの意見をいただき、案の修正に取り込むことができました。実運用における問題点もクリアし、満を持して発表したのが「日本メダカ協会公式ガイドライン 改良メダカ品種分類マニュアル」です。2020年4月の事です。


品種分類マニュアルはこちら
→http://jma-medaka.jp/headquarters_event.html



このマニュアル、よくあるご質問として「強制ルールなんですか?」というものがあります。答えは「まったくそんなことありません」です。というのも、協会というのはあくまで任意団体ですので、マニュアルに沿わないと販売できない、というような強制力を持っておりません。そこはご安心ください。
強制力はないため、このマニュアルの普及のためには、多くの人に対して丁寧に説明をしていく必要があります。マニュアル自体が、情報をふんだんに盛り込んだためページ数が多く、やや難解な内容のため、かみ砕いた説明が必要がと考えました。


そこで、このマニュアルの内容をわかりやすく伝えよう、と当店は活動を開始しました。
2019年4月以降は、ブログにてマニュアルの詳細な解説シリーズを開始。その際、各特徴を示すアイコン「形質アイコン」をデザインしました。


ブログ 品種分類案2,3,4シリーズ
→https://medakanoyakata.muragon.com/entry/249.html


形質アイコンについて
→https://medakanoyakata.muragon.com/entry/441.html



2020年4月以降は、インスタにて「1枚で特徴がわかる」をコンセプトに、メダカの見分け方シリーズを開始。そして、この度、動画にてメダカの見分け方シリーズを作成しました。


インスタシリーズ
→https://www.medakanoyakata.jp/?mode=f79




話が随分と長くなりました・・・。お付き合いいただきありがとうございます。


このように、先日に配信した動画は、業界にとって必要な情報を長期間かけて作り上げたものの総決算であります。決して、私たちの個人的な意見だけを発信しているのではありません。


このような活動をすることで、応援の声をいただく一方、多くの批判や中傷のような声もいただきます。「メダカは気の合う人とだけ付き合うのが一番楽しい」とも言われますが、我々はプロフェッショナルであり、またメダカを文化にしたい、という強い思いがあります。様々なご意見をいただくことも、真偽の定かでないうわさが流れることも、すべて承知の上で、今後も皆様のためになる情報発信や、活動を続けてまいります。


100年先にもメダカが飼育されていることを夢見て
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。


めだかの館 一同






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