100年メダカ 第四章 〜めだかの館のブログ〜

元祖 改良メダカ専門店 めだかの館のブログです!100年続くメダカ文化を目指して、日々の日記(メダカに関することから関係ないことまで色々)を更新します!メダカ好きな方必見です!

品種分類案2-8 朱赤

「改良メダカ品種分類案」の各形質や補足について説明しているページです。


本日は体色の「朱赤」です。



◆由来・概要
・2004年にめだかの館で作出された朱赤体色のメダカで,「楊貴妃」の名で知られる改良メダカを代表する品種です。


江戸時代から広く流通し親しまれてきた品種にヒメダカがありますが,ヒメダカと比較し明らかに鮮やかな朱色を表現しています。


琥珀メダカの中に一匹の朱赤メダカ(メス)を発見し,そのF1(6匹)から交配を繰り返し,楊貴妃の元親を作出し,累代繁殖させ固定化した品種です。


改良メダカブームの火付け役となった大人気品種であり,このメダカの登場により,メダカは「観賞するための美しい魚」として,世の中に認識されるようになりました。


様々なブリーダーによって厳密に系統が保持されており,楊5や楊30といった名称がつけられています。



◆特徴
・体色が朱赤である


◆形質補足
・なし


◆類似した形質
・黄体色のページにまとめました。


◆参考資料

・楊貴妃メダカの体内に含まれるアスタキサンチン,ゼアキサンチン,およびルテインの濃度はいずれもヒメダカよりも高かった。

・楊貴妃メダカは体表の黄色素胞にアスタキサンチンを多く蓄積できる性質を有する可能性が考えられる。

塩出雄亮・中田和義(2017)「“楊貴妃メダカ”におけるカロテノイドについて」水産増殖(Aquacult.Sci) 60(3),203-208


メダカの黄色素胞の発色は,その細胞内に蓄積されたカロテノイドによることが大きい。動物はカロテノイドを自ら合成することができないため,体内に存在するカロテノイドは植物由来である。

メダカにはカロテノイドの一種であるアスタキサンチン(赤色),ルテイン(黄橙色), ツナキサンチン(レモン色),ゼアキサンチン(黄色)等が含まれている。「楊貴妃(朱赤メダカ)とヒメダカのカロテノイド組成を調べた結果,楊貴妃にはヒメダカに 比べて,アスタキサンチン(赤色)が10倍以上含まれていることが明らかになった。


(アクアライフ2018年11月号p25:成瀬清,橋本寿史共著)



最も有名な改良メダカと言っても過言ではない楊貴妃メダカ。参考資料にもある通り、研究者の間でも「楊貴妃メダカ」として扱われ、研究対象として論文などにもなっているほどです(参考資料参照)。


その楊貴妃メダカが産まれたのが2004年。


発表当時から現在まで楊貴妃の名前自体に変更はありません。


しかし、様々な品種が作出される中で、品種名の整理が行われてきました。


2015年に日本メダカ協会が主催する全国メダカ品評会の出品名を


体色をベースにした品種名、とすることとしました。


この際に初めて「朱赤メダカ」という明確な品種名が誕生しました。



以降、めだかの館では


品種名:朱赤メダカ
ニックネーム:楊貴妃


と整理しています。




さらに、上述の通り、楊貴妃には楊5や楊30などの系統が存在します。


これらは楊貴妃の中に内包されるため


品種名:朱赤メダカ
ニックネーム:楊貴妃

系統名:楊5


品種名:朱赤メダカ
ニックネーム:楊貴妃
系統名:楊30


という整理になります。


なお、系統とは何か?については、


品種分類案のQ&Aに記載がありますのでご参照ください。


Q系統とはなにか?

A様々な意味合いを含むため一概には言えませんが,改良メダカの世界においては以下の二つの意味での使用が散見されます。

1.目的(選抜基準)を持って累代繁殖した血統群

2.共通の祖先を持つ個体群

2.の方がより広い意味合いを持ち1.の内容を内包しています。よって,ここでは1.を狭義の系統,2.を広義の系統と便宜上分類します。狭義の系統の例は楊30等,広義の系統の例はA店で購入した楊貴妃を累代繁殖(選別していなくとも)したメダカ群,などです。


狭義の系統を作るにあたり重要なことは以下の2点です。

1.選抜基準を明確にすること

2.選抜基準を変える事なく,長期にわたり累代繁殖させ系統の特徴を固定化させること

選抜基準が変更した時点で,その系統の固定化作業は一からやり直しとなります。また,特定の形質を除外するという作業も系統の作成には重要です。(非透明鱗系統ならば,透明鱗の形質を除外する作業,など)

(日本メダカ協会、改良メダカ 品種分類案より)



先日のめだかの学校で、以下の様な質問がありました。


「雑誌などで様々なニックネーム(ハウスネーム)が散見され、混乱しています。


 書籍に記載のある楊貴妃、紅帝、紅貴、サンレッドなどは


 すべて「朱赤メダカ」という品種名でよいのでしょうか?」



めだかの館の回答としては、YESです。


朱赤メダカにも様々な系統があり、それらを判別するためにニックネームは有用であると考えています。


また、系統を整理する意味でも、品種名が存在することは非常に価値があると考えています。



しかし、多くの雑誌や販売店などでは、ニックネームのみが記載され品種名が記載せていない状態であり、このことが改良メダカの種類を分かりにくくしていると感じています。



お客様におかれましては、ぜひ、自分の行きつけのお店などで


「このメダカの品種名はなんですか?」


という質問を投げかけてみてください。




「改良メダカ品種分類案」はこちら↓↓↓
http://jma-medaka.jp/pdf/1saishinhinnsyubunnrui.pdf





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※本ブログは、改良メダカ品種分類案の普及を目的として、日本メダカ協会の許可を得て写真や文章を掲載しています。